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2001年9月例会
開催月日 9月22日(土)

開催市町

朝来町
テーマ 鋼に魅せられた男のこだわり
講師

水田 宏

場所 水田さん宅工房にて 朝来町羽渕
参加者 池口・太田・衣川・木村(尚)・木村(昌)・島垣・高石・中嶋・中田(一)・ 中田(孝)・能登・浜野・細見・水田・湊崎・山本・和田 会員外4名
担当 水田・太田・能登


■ 講師プロフィール
昭和4年5月21日生まれ、72歳。
江戸時代から伝わる野鍛冶職人の5代目。
15歳の頃からこの仕事に入る。
伝統の技法を受け継ぎ、手作り一筋にこだわりの仕事を続けているとして
 平成3年 ふるさと文化賞
 平成5年 技能顕功賞
 平成7年 日本伝統工芸賞
などを受賞。
しかし、この仕事は農業の機械化に伴い、40年間に渡って右下がりの状態にある。
現在は、週のうち2、3仕事をすればこなせるほどの量しかない。
銘は「汗愛(かんあい)」。漢詩の「流汗鍛錬 同胞相愛」からとった。

■ 野鍛冶
唱歌「村の鍛冶屋」で『しばしも休まず槌打つ響き…』と歌われたのが野鍛冶。
主に農作業や山仕事で使う鎌などの道具を作っていた。
学校の行き帰りに多くの子供たちが仕事場を覗き込んでいたが、もうこの唱歌もなくなった。
昔は炭焼きの道具も製作していたが、今はほとんど作らない。
鉱山の良かった頃は、鉱山で使う道具「探鉱槌」なども作ったり、直したりもしていた。
現在は「草刈鎌」「鉈」「枝打ち鉈」「包丁」などを作っている。
「下刈鎌」も数年前までは作っていたが、最近は下刈りも刈払機で行うようになり、
また村の日役などで山に行くこともなくなり、作らなくなった。
 


■ 「鉈」打ちの順序
(1)地金を割って鋼(刃金)を入れる
(2)わかし付けをする
  (ホウ酸や鉄砂などを混ぜたもの。地金と鋼をくっつける。
   高温にして鉄と鋼の間の不純物を飛ばしてつける。)
(3)先をとる
(4)手前を直す
(5)トビをつける
(6)刃を出す
(7)板をつける
(8)刃の火造りをする。3回
(9)柄を伸ばしてぜんまいをつける

例会ではここまでを見学しました。この後に、
(10)研ぎ
(11)焼入れ
の工程が続く。


■ 鎌、鉈を使える人、使う人がいない
包丁がない家はないと思うが、鎌や鉈などの道具のない家、ましてやそんな道具があることすら知らない人が増えた。昔の但馬地方は多くの家で、 野で牛を飼い、山で炭を焼き、田畑を耕して暮らしていた。そんなに遠くない昔のことで、昭和30年ごろはそうだった。草刈鎌などは小学生でも 使っていた。家族で日課のように畦草刈りをしていた。刃がこぼれると研いで、何度でも使った。鎌の厚み(幅)がcm単位で研ぎ込まれている草 刈鎌に出会った。大事に使ってもらっている。職人としてとても嬉しい一瞬だった。
高度成長の中で、次々と牛を飼う人も少なくなり、畦草刈りという言葉も耳にしなくなった。併せて農業の機械化で野鍛冶の衰退が始まり、平成 に入り、但馬に数百とあった野鍛冶も数軒となった。
道具を作る技術は残っても、使い手が少なくなった。手入れのされていない道具に出会うことが多くなった。「汗愛」という刃物を研いで下さい と持ってきて頂くと嬉しいものである。鎌などの道具は、うまく付き合うと長い間重宝するものです。

・鉄湧かす コークス燃える 野鍛冶小屋   
・なたを打つ 野鍛冶のつち音 菊日和    (メンバー 湊崎めぐみ)

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