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2003年1月例会
開催月日 1月25日(土)

開催市町

香住町
テーマ 「へしこ」を継承する人々
講師

柴崎一秀(株)トキワ社長)

場所 (株)トキワ2階研修室 香住町三谷735
参加者 和田・島垣・太田・中田・上田・能登・戸田・衣川・西躰・守山・藤原博・木村昌
担当藤原博 太田 木村m


■ 講師プロフィール
昭和16年生まれ(61歳)。創業は1912年(大正元)曾祖父に遡る
1974年に水産加工場「味含(みぐみ)」設立を経て1992年に株式会社トキワ代表

■ 「へしこ」ってナニ?
語源
兵庫県では鯖・イカ、石川県では鰯・鱈・フグなどの海の幸を糠漬けにして保存食にした物。
「へしこむ」(「ぎゅっと押さえつける」の意)が語源。鎌倉時代には文献に出てくる。

食文化圏
石川県能登半島から鳥取県西部までの日本海沿岸で作られ、近隣内陸部まで食習慣が残る。
石川県が本場。富山県、鳥取西部には「へしこ」が無い。

食べ方いろいろ
○生で食べる(焙ると塩分が浮き出て、舌触りが辛くなる)
○大根おろしにつけて食べる 
○糠を取り除き、少し火で焙り、小口にスライスして食べる。
 焙ることで表面に浮き出た塩分が夏の暑い時期には欠かせない美味しさ。
 お酒の肴には抜群の相性。お茶漬けも良し。 

■ 「へしこ」をつくり始めて
 1974年に水産加工場を設立した当時、既に「へしこ」は消えゆく食品だった。
石川県美川町には十数社のへしこ生産業者があるため、勉強に行き取組みを始めた。
塩漬けの辛さが目立つ物を工夫改良した。
糠・みりん・昆布・唐辛子を加え、柔らかい塩味になった。
当時のへしこは塩分が20%もあり、醤油の17%と比べても辛かった。
現在は塩分14%まで努力したが、腐敗と保存の限界に来ている。
全国普及には塩分10%位が目安かもしれない。
 


「へしこ」の作り方
魚を開いて1週間塩漬けし「せ(水分)」を出し、塩を洗ってから冬場は6ヶ月、夏場は4ヶ月程糠に漬け込む。一度塩漬けしていて水分が出ないため、このままでは腐敗する。熱湯に塩を入れ冷まして作った弱塩水を呼び水として加えて漬け込む。鯖の脂の量は国産25%程に対し、ノルウェー産は35%程。脂ののった魚の方が美味しい。ノルウェーの寒さに耐えるために自然に脂が多い。ノルウェー鯖は漬け込んだ時に桶の上に脂が4cm程の層を作り虫を寄せつけない。日本鯖を使っていた時は、虫が湧くためビニールで封をしていた。イカは脂が無く水分が多いためビニールで密閉する。鯵・ハタハタで研究中。石川県のフグは2・3年も漬け込む珍味。脂は産廃業者に渡すが青物魚の脂なので利用法を研究したい。

■ 「へしこ」の今・昔 家で作った「へしこ」
海辺ではどこの家でも作っていた。春先までに漬けて、夏の食べ物だった。
昔のへしこは塩漬けだったので、夏に食が進まない時にちょっとあればご飯がすすんだ。山間部に移送するため、或いは夏に食べるための保存食に過ぎなかった。昔は浜のへしこと山の米を物々交換することもあった。漬け物などは上がる時期に近所で持ち寄って試食会をしていた。

■ 企業が作る「へしこ」・・・今後について
香住でへしこを作る業者は3社。今では漁師の方も買いに来る。現在は大部分を但馬内で消費し、僅かに姫路・大阪市場に出している。都会に出ても尚田舎の味として思い出す食品になってほしい。
「へしこ」としての範疇では限界があるが、発酵食品として工夫することでまだまだ普及する。地元の中だけで見ると消えゆく存在かもしれない。
しかし、全国的に殆ど知られていない為、普及の可能性がある。博多の味「辛明太子」の全国展開の例もある。是非但馬の味として代表される食品にしたい。
 


■例会後記
「へしこ」は、海辺の各家々で以前は漬けられていたが、今ではそれも大変珍しくなり商品として店頭に並ぶのみに成りつつあるため、今回例会で取り上げた。
但馬の中でも「へしこ」を食べることのない地域・世代がある。
能登半島から鳥取東部の限られた地域にのみ伝えられた食品は風土とも関係し、食文化の上で地域色を色濃く残している。
家庭の味としての記憶も薄くなり、作り手も無くなってきた今では、食文化を継承する企業の役割の重要さを改めて認識することとなった。
加工場に整然と並べられた桶に載せられた川原石が妙に印象的でした。/font>

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