■ 現地視察〜円山川水系八木川で"川の姿"を見る〜
(1) 万久里の妙見淵付近
初めに橋の上から下流と上流を見て川の特徴を観察。
川は下流を向いて右手が右岸、左手が左岸。
河道は逆S字形に蛇行していて、蛇行点に岩盤と淵、樹林、竹薮などが見られ、淵から淵までの間は直線的。早瀬〜淵〜瀞〜平瀬を繰り返している。
川底の石の大きさには大きい所と小さい所がある。
この淵がないと下手の砂の集まりはできない。
上流に見える頭首工は、左岸を走る用水に水を引くために川を堰き止めて取水している。
写真を撮るのではなく、スケッチをすると川の特徴が分かり易い。
また、いろいろな視点から川を見るということで、自分が魚やオオサンショウウオや川虫などになったつもりで大洪水が起きた時にどこに隠れるか考えるよう課題を与えられた。
次に、川に下りて川底の石をめくって観察。
瀬の石の裏にはトビケラ、カゲロウ、プラナリア等の川虫がいた。
渇水のため、水が少なかった。
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(2) 吉井の赤田ゆ取水口付近
川に下りて転石堰を観察。
右岸に、川の流れに沿って灌漑用用水路があり、これに水を引くため岩盤や川石が利用されていた。
直径2m程の大石と大石の間に、3人くらいで動かせるほどの石を並べて水路を上流側へ延長し、底を少し掘り下げて水を引きやすくしてあった。
このようにすれば川幅いっぱいにコンクリートの構造物の堰を造らなくていいし、堰を造らなければ魚道もいらない。農業をしている受益者住民が、面倒くさいけどここは自分達で守ろう、維持管理しようという意志があり、実行される間はこの形が続く。
その代償として水利権も保持している。行政任せでない、行政―住民の良好な連携がみられる。
このように川の流れの一部のみを人が利用するなら、大金をかけなくても川の生物と人とが共存できる川になる。先人の自然の働きを損なわない、川との巧みな付き合い方であり、30〜40年前まではよく見られた取水方法である。
人が無理をして人工的な構造物を造ると、大洪水が起きた時そこが一番最初にやられる。自然の営力には逆らえない。
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■ 話題提供
○多自然型川づくりの事例
- 揖保川に現存する伝統的な堰
間伐材の杉丸太で櫓を組んで石を載せ、孟宗竹を渡して繋ぎ、古畳を立てて水を堰き止めている。こうすると畳の下の隙間や高さの低いところ、水流の弱いところ等変化ができるから、魚は自分に合った所を選んで利用し移動することができる。
- 養父市の建屋川
オオサンショウウオがたくさん見付かったため、環境に配慮した川づくりが工夫され、コンクリート護岸を所々窪ませて川石を置き、川床にも石を置いている。
- 横須賀市の住宅街の水路
横須賀市には蛍の博物館があり、地元でも蛍を復活させようと、ドブ川だった三面張りの水路を一旦壊し、穴が開いて土が入っている蛍ブロックで護岸をやり直した。
土の部分に植物が生え、底には木工沈床を施工し、砂利を入れて草が生えたり蛍のさなぎが潜れるような所を作った。非常に工夫されている。
- 長野県の農具川
三面張りの水路になってしまった川を、地元の漁協の人達が頑張って魚の棲める川を取り戻した先進的な例。
コンクリートブロックを一度全部取って土手にし、水際に石を並べ、人工の淵や瀬を作った。水量が多いのが良い。当時は今のように行政が主体的に多自然型川づくりをするということがなかったので、裁判沙汰になったりしながら非常に苦労して造られたということだ。
- 愛媛県の小田川
コンクリートの護岸が延々と出来そうな時に、地元の「まちづくりシンポの会」の人達が石積みの方が良いと、漬物石を一軒から一個ずつ持ち寄ろうという運動をした。
そんな時、ドイツやスイスで面白いことをやっていると聞き、会のメンバーが自費で見学に行った。その自然豊かな美しい川を人の手で作り出したという素晴らしさに感動した一行は、その後も再三足を運び、1998年10月にはスイスの河川工学の専門家を招いてシンポジウムを開いた。参加者は遠くの官庁、企業、市民団体など300名を超え大反響をよんだ。この時参加していた建設省の関氏は強く感銘を受け、ヨーロッパへ飛び、これまでの河川改修の考え方を修正。1990年11月に「『多自然型川づくり』の推進について」という通達が出されるに至った。河川法も改正された。小さい町での取組みが国を動かした好例である。
- 旧関宮町の八木川
万久里のもう少し下で、万灯の湯の横の方の八木川。(1988年の写真)
最初は現地視察でここを観察する予定だったが、昨年の23号台風で護岸が大分傷んでいるため変更した。旧関宮町の広報の特集に、子孫に残したらいい所だと写真を付けて書いたがなかなか残らない。
早瀬・淵・樹林があり、非常に自然の豊かな所だった。
大きな石一個の裏側だけでも、多くの種類の川虫がうじゃうじゃいた。魚も多くいた。
しかし今は樹林が伐採されて、こういう形態ではなくなった。
- ドイツのイザール川上流
住宅街を流れているコンクリートの直線の水路を、行政と住民が協力して、できる所からできる範囲で改修した例。
フリーハンドで設計図を書いて流れを曲線にし、川幅を少し広げて水際に石を置いたり植物を生やしたりして自然らしき所を増やそうと工夫がされている。
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○川を見る目安
- 河道は、自然の地形に沿って蛇行している
(非常に大事。蛇行がなくなると淵がなくなり、瀬もなくなる。)
- 河床は、瀬と淵が交互に出現している
(瀬と淵が繋がっていないと生きた川といえない。)
- 水際は、草やヤナギなどが生え、河川敷や中洲がある
- 横断面は、水と陸の間に湿地という移行帯がある
(魚の隠れ場所や産卵場所になっている為、この水際が非常に大事。低水護岸で切るべきではない。)
- 水量は、豊かな流れがある
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○八鹿土木事務所による円山川中流域(和田山町寺谷地区)人口淵造成実験の成果
実験前、水深90cm程の瀞であった箇所に、幅10m、長さ30m、深さ3mの人工淵を造成したところ、わずか3ヶ月で魚や川虫の生息量が大幅に増えた。
淵の下手にできた瀬で川虫が増え、淵では魚が川底が見えないほど大量に増えた。
淵が水生生物にとっていかに大事かということが証明された。
また、川底を掘った時に出た大きな石を全部川底に敷いてもらったのも良かった。
円山川中流部の河道蛇行点にかつて存在し、漁場としても川遊びの場としても広く親しまれてきた固有名詞のついた水深の深い淵(水深3m以上)は、ほとんど消滅してしまった。それは、自然の営力を無視した河川改修に大きな原因があると思われる。
○日本とドイツ・スイスでの川づくりの比較
ドイツ・スイスは日本に先立って近自然工法による川づくりを進めているが、日本の
それとは相違点がある。日本と違いドイツ・スイスでは
- 成果を急がない
- 洪水を堤防だけで防ごうとせず、川・遊水池・放水路の三段構え
- 護岸は石ではなく出来るだけ土手と樹林で
- 両岸に河畔林を育てている
- 河川敷を自然保護区として保全している
- 河道の設計は直線定規ではなくフリーハンドで
- 工事は70〜80%にとどめ、後は自然に任せる(川に川をつくらせる)
日本では工事を設計通りに100%完成させないとお金が出ない。その辺の法律を皆さんのようなグループが働きかけをして変えていくということを、一つの問題意識として持たれたら如何でしょうか?
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■ 意見交換〜今後、川とどう付き合えばよいのか?〜
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