| 開催月日 | 7月28日(土) | 開催市町 |
豊岡市 |
| テーマ | 第一回公開セミナー 「但馬学への誘い」 | ||
| 講 師 | 新野幸次郎(神戸大学学長) | ||
| 場 所 | 但馬文教府 | ||
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■ 新野幸次郎氏の講演 但馬は豊岡藩だけで全部を支配していたわけではありません。こんな地域特性は県下の中でもあり、その特徴は幕潘体制以来ずっと続いています。その歴史が生活感情や風習、お祭り、ものの考え方に表れる多様な地域なので、町ごとに異なった意識をお持ちかもしれない。だから、但馬学が一本でやれるわけがないと思う。 社会構造の中で急速に変化するのは技術的・経済的構造です。新幹線が通ると在来線が停滞するように便利なら急速に変わり、地域的な構造が変わって人の考え方も変化し、人間関係や地理的構造も変わります。そして最後に政治的経済的構造が変わってくる。どうにもならなくなると法律や政治の形態を替え、環境変化も起こってきます。ここに但馬学を考える原因が、以上の変化のアンバランスの中に、いろんな意味で起こってくる。いいもの悪いものが自覚されるようになります。 このような変化が起こっている中で、但馬がこれから進めることは、 守っていくものを整理すること。 伸ばしていくものを検討することが但馬学の課題だと思う。 捨てる方が良いものを自覚すること。 但馬では出石藩の弘道館や、私学等で勉強した人たちが私塾を開くなど、江戸時代以後教育熱心な地域でした。だから今日に至るまでの但馬の文化学術等の発展の仕方を、整理してみる必要があることがわかります。物を作るときに必要なものにエネルギーと材料が必要になるが、もう一つ大事なものは能力であり知識です。日本はエネルギーがない上、食べ物の自給率も低いにもかかわらず、世界ではGNP第2位の国になった。ノウハウを徳川時代以来ずっと蓄積してきたからで、読み書き、算数の力が諸外国と比べて決定的に違います。物を作る上で精神構造の部分が決定的に機動力になるものである、というわけです。 下農は雑草をつくり 中農は作物をつくり 上農は土をつくる」という東井義雄先生の言葉があります。本当に良いものを作ろうと思ったら、土をつくることからやらなくてはならない。○○学と言われる分野が根づいていけば、これからの但馬を良くする、土づくりができる可能性があります。土づくりは地域開発のために何をしたらよいかという勉強とともに、もっと基礎的な勉強を地域ごとに始める必要があると思う。また、但馬の官学や私学で教えたのは儒学でした。遅れた地域からか小藩であったからか、余計に勉強しようという気持ちが強かったのではないだろうか。 このように考えると、地域学としての但馬学は、但馬について皆さんが、何を守ろうとするか何を守らないと決めるか 何を新しく持ち込むかを自覚し、整理することが進め方の一つではないでしょうか。 今、ファジィー理論がどんどん出ています。人間に役立つ技術、人間とともに生きられる技術が必要になっています。だから、但馬で根づいてきた農業やそれ以外のニーズのなかで考えられてきたものを、基本にした方がいいのではないでしょうか。本当に但馬的といえるものは何か。誇れるものは?、捨てるものは?、押さえるものは?、持ち込むものは?。これらを整理していくことが中心になるべきで、その根底には、但馬を愛する心、但馬で生きぬく願望が働くことが望まれます。 但馬愛を主張してその論理をつくっていくことは、いろいろな形でできる。「この論議はここが足りない」とか、「ここが弱い」とか自覚しながらやることは、本当の学問をしていこうという気持ちが生かされている。これが広がれば、みんなで謙虚にアプローチをつける可能性がある。但馬の限界、但馬の誘いを自覚し合って、その中で限界を克服する道ができるのではないでしょうか。 |