1993年3月例会

開催月日 3月27日(土)

開催市町

出石町
テーマ 「但馬の匠」  匠の技・刀匠との出会い
講 師 秋葉正巳 (刀匠)
場 所 出石町大谷公民館・秋葉氏宅
参加者 池口.太田.島垣 住吉.友田.中田裕.中田孝.浜野.丸山.湊崎.和田
担 当 太田

■ 秋葉正巳氏プロフィール
昭和29年出石町大谷生まれ、出石町在住。大阪市立工芸高校図案科卒。会社に就職したが、自分の描く職人のイメージにぴったりの刀匠への道を歩き始める。昭和49年長野県に住む人間国宝宮入行平さんの門をたたいた。師匠より「包平」の刀名をいただき昭和55年独立、出石に道場を構え火入れ。日本美術刀剣保存協会主催の新作名刀展に入選。


■ 道 場

秋葉さんの道場には、鉄を熱する炉、熱した鉄を打つ台、冷やす水桶など単純な道 具ばかり。入口にはきちんと積み重ねられた薪(炭)の山。

■ 地鉄の個性を生かして刀をつくる
地鉄にもひとつひとつに個性があり無限の可能性をもっています。わたしがイメー ジを膨らませると、地鉄が「僕は刃の部分になりたい。」と話してくれるんです。お となしい地鉄はいいものが出来ません。出来の悪い地鉄の内にある美しさを追求しそ れをいかに力強くまとめ引き出していくかが勝負です。私は地鉄の言うように、炎の 言うように、イメージを抱いて、ふいごを吹き、槌で打、ち少しずつ刀の形にしていくのです。と。彼は刀に自分を表現する。

■ 五感を磨く
人間が生きていくためにとても大切だった感覚が退化して現在、炎の色、音、匂いなど5感で地鉄の沸く瞬間をとらえる秋葉さん。すべて経験と感の世界である。秋葉さんは冬でも素足、白木綿の作業着だけです。着物にも住まいにも暮らし方の隅々にに感覚を磨く態度があるのだな思いました。

■ 私にとって刀はキャンバスです。
刀には武器としての流れもありますが、平安時代から美の対象としての流れがあります。道具という物は使われなくなると消え去る運命にありますが、美の対象として今にいきているのです。子供の頃から刀を身近に眺めて育った秋葉さんだから刀の美しさに魅せられたのでしょう。

■ 日本刀の出来るまで  当日資料より
 鉄釘を打ち、その熱によって赤くなった釘先から木片に浄火をとる。
 木片の火で藁を焼き鍛刀行程に必要な灰(アク)をとる。
 炭割:松、栗などの炭を使用目的に合わせ切っておく。
 原鉄に焼きを入れ硬度を高めていく(玉鋼)。
 玉鋼を1分ほどの厚さにして熱し水に入れる。
 7分角ほどに玉鋼を砕く。
 砕いたものを挺子の台の上に重ねる。
 和紙で挺子台ともに包む。
 さらに粘土汁をかけて癒着をたすける。
 藁灰(アク)をまぶし付ける。
 挺子を火床に入れフイゴで火力を高めていく。(沸かす)
 よく沸かした後槌音高く下鍛えする。
 長方形に鍛え伸ばしていく。(20回)
 折り返して鍛えるため横に折り目をつける。
 重ねるようにして折り曲げ、アクを付けては熱してきたえ繰り返して鉄質を錬る。
 中央に心鉄左右に皮鉄をおき、本三枚鍛え(心鉄皮鉄の結合)をする。
 刀形に延べる。刀先(帽子造り)
 棟を削り曲がりなども直す。
 ヤスリやセンをつかって荒ら仕上げ、正しい刀形をととのえる
 土、炭の粉、粗砥の粉をこねて台のうえにとる。刃文付けを塾考する。
 刀身の上にうつす。へらで焼刀土を延ばす。(これで刃文が決まる。)
 焼き入れ。炭火の炉に刀身を入れ温度を高めた所で刃を下に水に落とす。
 赤めた銅塊に棟をかませ、槌で打ち、返付けを行う。
 鍛冶研ぎを加え刀身をととのえていく。気に入ったものに銘を入れる。