1992年8月例会

開催月日 8月22日(土)

開催市町

竹野町
テーマ 但馬の自然と遊び
講 師 本庄四郎 竹野町公民館主事
場 所 竹野町・北前館
参加者 島垣・西村・中田・守山・浜野・太田
担 当 中田 藤原

■ 遊びの自分史 講師の子どもの頃の話
・ 魚とり、蝉とりなどの狩猟採集体験
・カワセミとの出会いと野鳥観察
・ 自然の音集め
・ 野遊び大好き
・ こだわりと発想の原点
■ 但馬の自然の魅力
雨、地球のダイナミクス・水の循環 
但馬の自然は湿っぽい。非常に水分が多い。 この湿っぽさは他では体験できないし、それが低い山であるところがおもしろい。水の循環の姿が目の辺りに見れる。久斗山(浜坂町)や大岡山に登ると雲海が見られる。雲海の間に立つと「これが地球か」と いう、そんな感動がある。

豊かな森である但馬の山々
但馬の森で自慢していいのは、いろんな生き物がまだいる(かろうじている)ということである。イヌワシ・ツキノワグマ・モモンガなどの哺乳類やアカショウビンというカワセミがいる。これらの動物が棲む森はブナなど材木の価値としてはB〜Cクラスのであったが、ブナ林こそ変えがたいものだと いう価値観に変ってきている。

昔は伐採や植林が盛んだった。この時に植林した木がほとんど手入れされないままに大きくなっている。植物はそこにいるだけでかなりの蒸散がある。その枝が切られないままに伸び放題になっていて、無駄な水分吸収によって、かなりの保水性が損なわれている。森がいろんな水分を吸い取っている。本来、谷川にはもっと水がなくてはならないのに、荒れ放題の森があるから水が減っている。それが針葉樹ばかりの山である。

水源涵養ということで森林には重要な意味がある。が、円山川、岸田川、竹野川の上流など、本来、豊かな森林があった源流を辿ってみると、伐採され小さな木が植えてあるところや原野と化しているような所が広がっているという、 ちょっと危険なところがある。

広葉樹 広葉樹は秋になると葉を落として落ち葉の絨毯を作る。そこに雨とか雪を溜め、水滴が落ち、それが集まって流れ、川になる。
針葉樹 落ち葉の空間(絨毯)がなく、水のストックができない。蒸散作用があり、風が吹くと葉にある水分が蒸発してしまう。失った分だけ根から吸い上げないと枯れる。今、あれだけの森林面積と現存量があれば、かなりの量の水分が杉林に風が吹くだけで蒸発してしまい、結果として川が枯れてしまう。

■ 但馬の川の生態系
但馬の川は だいたいは急流で短い。その中でいろんな変化があり、いろんなものが川に依存して棲んでいる。そこに人間も住むから、昔のように上流域とか中流域とかに棲む生物といえない。上流にあっても下流のような状況がある。この前、阿瀬渓谷上流の羽淵(日高町)でタイヤチューブで下るイベントがあった。家の下水をかぶる所があって、ものすごい臭い だった。とにかく人が住んでいるかぎり、上流といえ、あてにならない。

・川から子供たちの姿が消えた
川で子ども達の姿を見かけることが少なくなった。川がかえりみられなくなって、ごみ捨て場になっている。冷蔵庫やテレビ、ガラスのものなど。

・川と人間の交渉が薄れる
川いと洗いと(家々の近くの川岸に作られた川を利用した洗い場である、野菜・食器・洗濯などをした)などのコミュニケーションの場がなくなった。川に降りる道がなくなっている。昔の暮らしと川との関わりは大きかったが、今は川との交渉がなさ過ぎる。

・かっての川は魚の王国だった
透きとおった水があって泡が立ち、稚魚がたくさん、泳いでいた。

・川と人間の戦いの歴史
川は 台風 19号(1991年9月)のような災害で変る。暴れたら恐い。川は役所が管理しているから、私達の知らないところで柳の木が伐採されたり、コンクリート護岸になったりするのは歯がゆい。
川は水路ではない。いろんな生きものがいて、水の循環のなかの重要な部分だと思う。海に帰って雲になり、また川に帰ってくる。循環には一定の速度がある。一方的に目の前から「大量の水だけを流しさってしまえばいい」という考え方はそこに棲む魚とか、いろんな生き物などが川を浄化する役割を無視し、人間がスピードを変えてしまう。 そんな印象がコンクリート三面張りにある。

■ 川と人間とのつながりを復興する
・清流は未来の遺産
汚水生物学 人間が川に与えている影響を点検するための作業。 その大衆的なあり方がライオンズクラブの「水生生物調査」であり、50cm枠の面積の中にいる生物を調査する。但馬では7年間、やっている。今年も7月30日に中学生と一緒に。20人くらい集まった。全員、魚をとる気でやってくる。
「川を下ろう」 6年前から竹野川を下っている。ボート、カヌーで。川の道は車と違う。速度が違う、目の高さが違う、聞こえてくる音が違う。水の道は原始の道である。水が山肌を降りて、集まって流れていく。ぜひ一度、下ってみてほしい。

■ 川は海に流れる
但馬の川はどこも汚れている。その集まりが海に行く。台風19号の時、翌日、浜に行ったら、ものすごいゴミの量であった。但馬の川は葦が多い。枯れた葦が濁流で根こそぎ海に来て、海の波で押し戻され、バリケードのように海岸を埋め尽くしていた。それを竹野の人が全部とって泳げるようにした。いろんなものが海に行く。汚れ、洗剤、油など。海で分解されることは絶対にない。

海岸を歩きながら、ビーチコーミング(浜で漂流物を拾い集めること)をしていると、ゴミの中をあるいているようになる。廃油、網とかロープ、洗剤の容器、除草剤など。
魚道が作ってあっても、ほとんど役に立たない魚道だったりする。海から来る魚のことを考えてない工事。などいろいろある。

スノーケルのお勧め 海の魅力はぜひ、海の中で実際に体験してみてください。

山と川と海と、これが但馬のなかで一体となって循環している。どれをとっても但馬らしいし、どれが欠けても但馬ではないという感じがする。そこには新種の生き物がまだまだいる。未知のゾーンがあって、それだけでもすごいエリアである。

■ 但馬の自然と遊ぶ
・ 山の遊び
スノートレッキング かんじきスキー(古びたスキーや竹スキー)で雪道を歩く。
バードウオッチング・滝つぼ水泳など
・ 川の遊び
石投げ・ストーンペインティング・スノーケリング
など
・ 海の遊び
スノーケリング・ビーチコーミング
など
・ その他
ナイトハイキング・蛍ウオッチング
など
以上は自然に対して、お客さんとして入っている

気になる 
他にジェットスキーとか、大型車やバイクで山道を走る。海岸を走る。これらの遊びは生き物を殺したり、傷つけたり、貴重な生物の生きる環境を壊していることがある。

■ 遊びながら育つもの
遊びというのは、ただ時間を気持ちよく過ごしたというのではなく、何か得るものがある。しかし得るという目的で遊ぶのではなく、結果として何かになっているという、一方通行で良いと思う。いろんなことを知っておかないと、面白く遊べない。知識と工夫。工夫次第でどんどん発展していく。

遊びながら育つもの 知識・工夫・判断力・体力・医師の表示と伝達・発想の柔軟性・情報処理・協調性・自然・文化・伝承の保護・エコロジカルな発想・自然への謙虚な交渉・ふるさとへの愛

内容の詳細については但馬学研究会カルチャーvol.6に掲載