ホーム > 例会報告 > このページ

 
1999年2月例会
開催月日 2月27日(土)

開催市町

竹野町
テーマ
草葺き屋根の家と屋根葺き職人
講師

大原安兵衛氏(現役の屋根葺き職人) 倉橋美津代氏(豆腐料理)

場所 すのたに屋(竹野町須野谷)
参加者 和田・島垣・浜野・湊崎・戸田・池口・太田・住吉・中田・藤原次・宮田・友田・会員外2名・本庄(協力者)
担当 友田


■ 但馬の草葺きの屋根葺き職人は一組に
但馬で今も草屋根の屋根葺きをやっている職人は大原さんと、同じ須野谷に住む田中寛(ゆたか)さんとのただ一組になっている。後継者はいない。
竹野町草飼はかつて屋根葺き職人の多い集落で、何組もあった。だれだれ組はどこどこというように、仕事をする村が分けられていた。職人は農家なので、田んぼの作業がない時期に屋根葺きに出かけた。冬は雪で仕事ができないので、酒屋に出稼ぎに行った。 

■ 大原さんの歩み  
18歳で軍に志願した(昭和20年1月)が8月に終戦。一月ほどして帰ってきたが就職はなく、父が自分の村(須野谷)を受け持っている草飼の屋根吹き職人に「連れて歩いてくれんか」と頼み、ついてまわるようになった。当時の須野谷は20軒あって、瓦屋根は3軒でほかは草屋根だった。近くの村も同じだった。             
10年ほどたって師匠が仕事から手を退き、後を継いだ。この村から学校を出たばかりの若い者2、3人連れて仕事に出かけた。当時は回りきれないほど仕事があった。しかし瓦屋根が増え、草屋根もブリキを被せるようになり、仕事がなくなってきた。年をとってもうやめたいが、まだ残っている草屋根を維持しなければならない。冬は私も酒屋に行っていたが震災(阪神・淡路大震災)にあってやめた。
 


■ 茅場のこと      
それぞれの村が山に茅場を持っていた。11月下旬にふれを回して刈った。1軒から一人出て刈った分は持ち帰れた。冬に稲木で茅を干す。春は山焼きをした。焼くといい芽が出た。今は茅場は荒れた。

■ 屋根に葺く草
但馬では茅、麦わら、くま笹わ葺く。播州はみんなわら屋根だ。茅は廂(ひさし)や南側に使い。北側・裏側は笹を使うことが多い。1棟全部笹の場合もある。笹は茅より長持ちする。このあたりは山にくま笹がびっしり生えていた。今年はどの家とどの家が刈るというふうにしていた。。葺くとき、茅は下でそろえなければならない。笹はそのまま屋根に入る。浜に行くと麦わらがほとんどだ。持ちは悪い。麦わらに茅を混ぜることもある。茅葺きにすると「え−よ−普請」といった。昔は直す家が茅など材料を調達した。今はみんな持って行かなければならない。瓦より高くつく。山の茅場がなくなってきたので、稲を植えなくなった山田に生えている茅を刈って用意する。
 

 屋根葺きの手順
1. 大工が刻んだ合掌を組む。ここから屋根屋の仕事だ。破風も屋根屋が上げた。 
2. こなおし(横木)、竿を組み、おどろを敷く。今は竹をを使う。真竹もしくはもうそうを割って使う。そうしないと茅のえぼ(先)が落ち、雨が伝って中に入り漏る。
3. 小口(屋根の裾)の厚さを決める。昔は小口のいちばん下にオガラをつけ、茅をずりにくくした。茅の量は三六の家(3間6間)で、小口に20シメで片面に100シメちょっと。棟に20シメで妻があると合わせて300シメ近くいる。1シメは5尺の縄でくくる。
4. 年とった職人(ベテラン)が両縁、若い者は中に入って一斉に上がる。手子が屋根の裏側に入って針を通し「こなおし」にくくる。「山」とか「川」とか言って合図する。
5. 棟を上げる。茅2シメをえぼで重ね、屋根のてっぺんに載せる。さらに竹を載せる。竹の寿命は短く、長く持たせるため防腐剤をしたヒノキを載せることもある。
6. 経費は三六の全面葺き替えで1000万円ほどだ。
7. 昔は「手間替え」といって屋根葺きをする家は近所から手伝いに出てもらい、その家が屋根葺きするときは手伝いに出た。今はそうした風習が消え、手子は日当を払って雇う。

■ 草屋根の修理
 このあたりでは全面葺き替えまで50年。15年目に叩いて修理して下りる。あと10年毎。棟はさら棟で6年。長い茅を使うと修理がきかない。引き出せない。目が詰まらない。大原さんや田中さんがいなくなると、但馬の屋根葺き職人は消える。後継者はいない。但馬最後の茅葺き職人大原安兵衛さん(左)
 終戦直後の18才のときから茅葺き職人の弟子として始める。 始めたときは茅葺き屋根がたくさんあって回り切れないときもあったが、 今は数えるほど。竹野町では5〜6軒。大原さんは隆国寺(日高町)温泉寺(城崎町)宿南邸(八鹿町)かぐや姫(八鹿町)さらに 丹後半島の網野町の住居などを手掛けている。手作り豆腐・栃もちの店「すのたにや」の倉橋美津代さん地元・須野谷で今も築150年の茅葺きの家に住む倉橋さん。 「夏は涼しくてとても気持ちよい」とおっしゃる。

■ 草屋根といろり
 いろりで火を焚くと煙が上がりススがついて、草屋根が長持ちする。縄はガチガチで鉄のように堅くなり、鎌で切ってもなかなか切れない。茅も強くなる。湿気の逃す。湿気ると茅だけでなく、縄が腐る。 

■ 草屋根は涼しい
 草屋根は熱が伝わりにくい上、呼吸をしているから通気性があり、湿気がこもらない。


豆腐料理
 すのたに屋は地元の女性グル−プを中心に、地元産の青大豆を加工した豆腐料理の店として昨年オ−プンした。豆腐のフルコ−スを食わせてくれる。リ−ダ−の倉橋さんから料理の話を聞く。建物はトタンを被せてはあるが草葺き屋根の家を改装している。
 

ホーム > 例会報告 > このページ